ロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームとは

運動器の障害のために移動機能の低下が生じた状態のこと、またはそうなる危険性が高い状態のことを指します。
ロコモティブシンドロームは、略称ロコモ、日本語では運動器症候群といわれています。
運動器とは筋肉、骨、関節、軟骨、軟骨、神経、靭帯、腱などの組織を指しますが、各組織が連動して働くことで体を動かしていますが、ロコモはその運動器の一部あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。ロコモは進行すると日常生活が困難になる可能性があります。
長く自立した生活を送るためには、運動器を長持ちさせ、ロコモを予防し、健康寿命を延ばしていくことが必要です。

生活習慣病との関係とは

生活習慣病とは、運動不足、偏った食事、暴飲暴食、喫煙、ストレスなどが原因で起こる病気を言います。
代表的な疾患又は状態としては、メタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、動脈硬化、心臓病、脂質異常症、骨粗鬆症、脳卒中などの数多くの病気があります。生活習慣病は、知らないうちに日々の生活が体に影響を与え進行する怖い病気です。

その生活習慣病がロコモの原因となったり、逆にロコモが生活習慣病の原因になったりするのです。
例えばメタボリックシンドロームとは、いわゆる「代謝症候群」と言われており、内臓脂肪型肥満によって脳血管障害、心疾患、糖尿病などの様々な病気が引き起こされやすくなった状態です。 肥満の人はその体重により膝への負担が増し、膝だけでなく体の様々な部分に対して負担を増大させます。 また、一般的に肥満気味だと意識的に運動をすることを嫌う傾向にあり、運動機会が少なくなり、筋肉の衰えを助長してしまうケースも考えられます。
逆にロコモはメタボリックシンドロームの原因になることもあります。
膝の痛みを嫌い運動をほとんどしなくなり、その上食生活も栄養バランスの偏ったメニューばかりだと体重が増え、メタボリックシンドロームを引き起こすリスクが高まります。

このようにロコモと生活習慣病は相互に影響をあたえ悪循環に陥る可能性が高いのです。

ロコモ図

ロコモの予防

ロコモである人は、運動器である骨、関節、筋肉などの老化が進んでいきます。
運動器の老化するスピードを抑制するためには、毎日続けられる無理のない運動を行うことです。
運動器機能の低下は、加齢によって避けられない部分はありますが、継続的に運動することで運動器の低下スピードを抑えることもできます。
たとえば20代~40代で運動器にこれという障害はないものの、定期的な運動習慣がない場合は、将来ロコモになる可能性が高いといえます。
またロコモになる方は、ロコモでない人に比べて運動器機能低下のスピードが速いと考えられることから、将来要介護となる割合が高くなります。

適度な運動で運動器をケアする

ロコモは運動器を構成する筋肉、骨、関節、脊椎などの機能が全体的に弱くなっていきますが、運動器の中でも筋肉低下が大きな影響を与えることになります。そのため運動機能を維持するためには筋肉を鍛えることに重きを置いた継続的な運動が必要になりますが、その理由としては以下の三つが考えられます。

  1. 筋肉を鍛えるとそれを支えようとする骨までも強くなること。
  2. 筋肉の新陳代謝は3~6週間で行われることから、継続的な運動とそれを促進する栄養摂取が必要であること。
  3. 筋力のアップによりロコモが誘発する骨粗鬆症、変形性脊椎症、変形性膝関節の改善につながること。

食生活に気を配り骨や筋肉の素となる栄養素を摂取することも運動器を維持するために大切です。
年を重ねるごとに肉類、魚類、乳製品の摂取量が減少し、筋肉を形成するためのたんぱく質や、骨を形成するためのカルシウムが不足します。
特に食べ物の摂取から体内に取り入れることしかできない動物性たんぱく質にはアミノ酸が含まれているため意識的に食生活に気を配る必要があります。