骨粗鬆症とは
症状
骨粗鬆症とは、加齢に伴って骨のカルシウム量などが減少し、骨が脆くなったために、骨折しやすい状態もしくは骨折した状態のことを言います。骨が完成されると同じ状態を維持しているかのように考えがちですが、骨にも新陳代謝が行われているため、古い骨は新しい骨に常に置き換わっています。実際には古い骨を吸収する『骨吸収』と新しい骨を作り出す『骨形成』とのバランスを取ることによって、骨は強度と形状を維持することが可能となります。一方、骨形成が骨吸収に追い付かない場合や骨吸収が骨形成を上回る場合に、強度低下を招き、骨粗鬆症となります。
現在、骨粗鬆症の患者数は1,100万人ですが、骨粗鬆症予備軍を含めると2,000万人になると言われています。そのほとんどが40代~50代の女性で全体の76%を占めております。女性は、ホルモンの減少が原因で骨密度の低下を引き起こすからです。また骨粗鬆症の原因として、関節リウマチ、副甲状線機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患などの病気、ステロイド薬の副作用によるものなどがあります。 骨吸収と骨形成の骨代謝に影響を及ぼすホルモン不足、骨密度の低下などが骨粗鬆症を誘発させるのです。 骨粗鬆症による骨折は、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折、椎体骨折、大腿骨近位部骨折が代表的です。これらの中で最も頻度が高いものは椎体骨折です。70歳代日本人女性で骨粗鬆症をお持ちの方は、骨粗鬆症を未治療のままに放置していると椎体骨折の可能性が高くなることが報告されています。
椎体骨折をきっかけに、椎体のバランスが崩れ脊柱の変形が発生し、背中あたりが丸くなり、猫背になってきます。円背の方は、体が正しい姿勢を保とうとするため背中の筋肉をいつも以上に使うことになり、筋肉疲労のため疲れやすく、慢性的な腰背部痛が生じます。
また円背は前屈姿勢のために転倒しやすくなるなど、日常生活に対して少なからず影響を与えます。
さらに、猫背による運動する機会の減少により、高血圧や高血糖などの新たな生活習慣病を併発する可能性があり、骨粗鬆症が様々な悪循環の発端となる恐れがあります。
診断
診断には、正確な骨密度の測定が可能であるDXA法を用いております。
DXA法とは、二種類のエックス線を照射し、骨の強度の重要な要素である骨量を測定することができます。またX線による被爆量も少なく、現時点ではDXA法が最も信頼できる骨量測定法だと言われています。
治療方法
①運動療法
運動をして骨に負荷をかけることで、骨密度の低下を防ぎ丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体のバランスを取り戻すことができますので、ふらつきが無くなって、転倒を防ぐことができ骨折のリスクを軽減することができます。運動療法は骨粗鬆症の治療に不可決です。
骨密度を上げるためには、できれば毎日お散歩、階段を使う、一駅歩くなど運動が苦手な方でもできる程度の運動でよく、とにかく毎日ちょっとした運動を継続することが大事です。
②薬物治療
病状が進んだ場合には、運動療法に合わせて薬物療法を開始します。
医師と相談のうえ、薬物療法の開始時期や内服する薬の種類を判断していきます。
●活性型ビタミンD3
摂取したカルシウムの小腸からの吸収を促進させ、骨形成と骨吸収のバランスを調整し骨量の減少を抑制します。
● ビスフォスフォネート製剤
骨吸収を抑制することで骨量の低下を抑制し、骨形成を機能を維持することで骨密度を増やす効果があります。
● SERM(サーム:塩酸ラロキシフェン)
骨のエストロゲン受容体に作用し、骨量を増やす作用があります。
● ビタミンK2製剤
骨形成を補助し、骨密度を高める作業があります。
● カルシトニン製剤(注射薬)
骨吸収を抑制する注射薬ですが、痛みを改善する作用があります。
●副甲状腺ホルモン製剤(注射薬)
骨形成を促すことにより、骨折の危険性が低下します。